タイトル 世界のごみ箱

トイレとライフスタイル

 尾篭な話で恐縮だが、皆さんは和式のトイレと洋式のトイレとどちらがお好きだろうか?私は、和風が好きなのだが以前の下宿では洋式で、毎朝悲しい思いをした。そのせいもあって大学で用を足すことも多く、学内のトイレの状況にはかなり詳しい方だと思っている。
 先年、実家が改築をした時、親は電話で「間取りはこうした、階段も変えたし、ベランダをこちら側にも付けた。」などと嬉しそうにいろいろ説明してくれた。さぞかし立派な家になったのだろうと期待して帰省するとなるほど確かに立派な家だったが、トイレが洋式になっていたのには閉口した。しかもそれについて一言の相談もなかったのは口惜しい限りであった。
 洋式トイレは安定性が良いのでお年寄りなどのいる家庭では望ましいようだ。しかし、個人的に言えば、ふきにくいしどうも力が入りにくくて嫌いだ。また家ならともかく、公衆便所ではどこかの誰かと「尻合い」の中になる訳で、なんとなく座りの悪い気がするのは、私だけではあるまい。ま、それも一つの縁ではあるが・・・・。一方、和式だが冬はどうもお尻が寒いという欠点がある。洋式の便座の冷たいのにも閉口するが、ヒーター付きの暖かい便座が登場したいま、和式の寒さは身にしみる。
 ただ一つ、これは和式の大きな利点、と思うのが,汚いようだが自分の排泄物を確認できる、ということである。一昔前に下血という言葉が流行ったことがあったが、実際胃腸系の疾患などには自分のウンコは最大のマーカーとなり,健康管理の面からは、いつも自分できちんと確認することが望ましい。小さい頃読んだ本の中で、とある動物園の園長さんが「動物達は体調が悪くてもそう言ってくれないのでウンコを見て健康状態を把握してやらないといけません。例えば、うちのライオンなら太さ○p長さ□pぐらいのを△本する時が一番体調がいいんです。」と書いていたのを思い出す。子供ながらに"ふん, なるほど"と感心したものだ。
 ところで、下水道や清掃工場のない自治体を指して「トイレのないマンション」などと言うことがある。我々の生活の排泄物とも言える"ゴミ"をじっと見た時、今の生活は好ましい状態と言えるのだろうか。 (1991年6月頃)

※ この文章は,学生時代にミニコミ誌『みどりむし』にコラムとして書いたものです。

ウイグル自治区のトイレ
中国の新彊で。ずいぶん開放的なトイレでした。 (2006年9月)

前のお話へ   ●ごみにまつわる話の目次へ●   次のお話へ