水谷の研究テーマ

1.廃棄物の溶出試験に関する研究

 多くの廃棄物はさまざまな処理をされた後,最終的に埋立処分されますが,酸性雨などにさらされることで,廃棄物に含まれている 重金属類などの有害物質が環境中に溶け出し(これを”溶出”と言います),土壌や地下水を汚染する可能性があります。そこで最終 処分をする前に,この環境汚染の可能性を調べる試験法を”溶出試験”と言います。
 溶出試験のめざすところは分かりやすいのですが,将来に渡っての環境挙動を予測する事は現実には非常に難しく,世界各国で さまざまな溶出試験が提案され,実施されています。当研究室では,廃棄物や有害物質の特性も考慮しながら,長期的な環境汚染の 可能性を把握できる試験法について研究しています。

2.焼却残渣・廃棄物溶融スラグの有効利用に関する研究

 日本では廃棄物の焼却率が非常に高く,その結果として年間600万トン以上の焼却灰が発生しています。また焼却灰中のダイオキシン類を 分解し,有効利用を行うため,焼却灰を1300℃程度で溶融してガラス状にした溶融スラグも年間60万トン程度発生しています。
 この溶融スラグは,石などの代替として土木資材などに有効利用できるのですが,廃棄物に由来することから,その安全性が 懸念されています。当研究室では,これらの物質を土木資材として安全に有効利用するための技術と,安全性を担保する方法について 研究しています。

3.廃棄物からのレアメタル類の回収・リサイクルに関する研究

 インジウムなどのレアメタルは,近年のIT産業の発達などに不可欠なものですが,世界中の賦存量が少ない上に産出国が偏っており, 安定供給のためには,使用済みのレアメタルを回収・リサイクルする必要があります。
 当研究室では,廃液晶パネルや非鉄系の製錬ダスト,都市ごみの溶融飛灰などを対象試料としながら,インジウムを回収・リサイクル する技術について研究しています。

4.焼却灰からの有害ガス発生に関する研究

 昔,焼却灰の処理に起因する爆発で,清掃作業員の方が亡くなったり,怪我をされたり,という事故が起こりました。今でも廃棄物処理業の方の労働災害のリスクは他の業種と比べても非常に高いことが知られています。
 このような廃棄物処理に伴って発生する有害ガスの発生状況に関する解析と,そのリスクを適切に評価できるような試験法の開発をめざしています。

5.PAHsの環境動態に関する研究

 PAHsとは多環芳香族炭化水素類と呼ばれ,ベンゼン環が複数個つながった炭素と酸素,水素からなる化学物質群です。自動車などの排ガスやアスファルト,煙草などに含まれていますが,中には発癌性が確認されている物質もあり,その環境挙動が注目されています。PAHsの溶出挙動など,水系を通じての環境挙動に着目してその動態を調べています。

6.大阪市の建物ストックの定量化に関する研究

 大阪市には一体どの程度の建物が建っているのでしょうか。あるいは大阪市の建物を造るためには,どれくらいの資材が必要なのでしょうか。大阪市立大学という立地を活かし,大阪市の統計データを使いながら,建物データの定量的な評価を試みています。

7.大学等の実験室環境と化学物質管理に関する研究

 大学の実験室では,多くの化学薬品が使われていますが,これまでその挙動や管理大成についてはあまり注目されていませんでした。実験中に化学物質がどの程度揮散しているのか,作業者の化学物質曝露によるリスクはどの程度なのか,などについて研究しています。
ごみ箱の絵

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